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February 08, 2005

TOBACセミナー~新たな都市交通体系の実現方策

かいです。

今日は、先月末に東京で行われた、TOBACのセミナー「各国及び日本の事例に学ぶ 新たな都市交通体系の実現方策」についての報告。(更新が大分遅れています。スミマセン。)

このセミナーは、東京近辺の大学が集まり、社会人がキャリアアップを図る機会を与えるべく結成された「TOBAC」が行っているセミナーである。
私はちょうど前日、別の用事で東京に来ていたのだが、このセミナーの存在を知り、滞在を延長して聞くことにした。

会場は、明治大学の「アカデミーコモン」。最近建てられた、高層のキャンパスである。
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この辺り、数年前、私が宅建の合格講習で来た時には、まだ工事中だった。何が出来るのだろうと思っていたが、立派なキャンパス。そして、ここで私が学ぶとは...。
普通に大学に行けなかったかいにとって、この様な場で学ぶ事は、とてもうれしい事である。
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会場は9階。窓から見える冬晴れの東京の景色は、とても素晴らしい。空気が澄んでいるせいか、遠くには富士山も...。
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(写真をクリック)

やや前置きが長くなったが、本題。
今日の講師は、東京都立大学教授の秋山哲男氏と名城大学教授の海道清信氏の二名である。

まず、秋山哲男氏の講義から。

秋山氏は、福祉の観点から交通問題を研究されている方である。
実は私は、昨年もこのTOBACのセミナーで秋山氏の講義を聞く機会があった。
私は、交通問題にはかなり関心が高いほうだが、バリアフリーやユニバーサルデザインの問題はあまり関心が無かった。しかし、昨年、秋山氏の講義を聞いて、とても面白く、又、この様な問題は、他人の問題でなく自らの問題であるという事に気づかされた。
今年も、同様な内容の講義という事で、話が重複するかとも思ったが、又、新たな発見があるのではないかと思い講義を聞いた。

秋山氏は常に「移動の自由は誰にでも与えられた基本的人権である」と訴えている。
そして、交通問題も市場原理だけで扱うのではなく社会サービスとして扱うべきと訴えている。

今回は、公共交通の、最もきめ細かいサービスを提供する手段としてのバスの特徴と限界、そして、バスでカバーできない人達の交通を確保する手段としてのDRT(需要応答型公共交通システム)についての話があった。

まず、現在のバスが置かれている状況について、7つの疑問という形で現状分析を行った。
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高齢化社会の問題、コミュニティバスの問題、他の交通手段との組み合わせの問題等、バスを巡る様々な問題について現状分析を行った。
そして、バスを生かした交通体系を作り上げ、成功したブラジルのクリチバの事例紹介と続いた。

その様な論議の展開の中で、バスによっても、交通の恩恵を受けられない人達がいる事。そして、その人達の交通を確保する手段としてのDRTについての話があった。
DRTは、乗り手の需要に合わせて運行され、乗り合いで利用される交通手段である。(定義は難しいが)
つまり、タクシーの決め細やかさと、バスの効率性を併せ持つという特徴がある。
これらの動きは、スウェーデンやイギリスが先進地域であり、日本においても、青森や福島で実現されているという。

これから、高齢化社会を迎え、高齢者の移動をどのように行っていくかについてが重要な問題となると思われる。
しかし、日本においては、それらの動きは一部の福祉関係者しか関心がなく、交通の側からのアプローチが無い事、そして、日本においては、交通問題は市場からのアプローチしかなく、それらを改善すべきであるとの話があった。

秋山氏の講義、とても参考になった。交通は移動を求める全ての人達に、平等に与えられなけれはならないと思う。
ただ、交通を福祉と考えたとき、それが聖域化してしまうのではとの懸念もある。採算が合わないから税金を投入せよという考えは、銀行の不良債権処理と同じである。その辺りは注意しなければならない。
これらの問題については、市民と行政が主体的に行動し、相互に特徴を出して当たっていくべきではないだろうか。
市民も責任逃れをするのではなく、自らの問題とし、交通問題を解決していく事が必要ではないのか。

そんな風に感じた。

                ◇                 ◇

続いて、海道氏の話へと続く。
海道氏は、地域振興整備公団から、大学教授に転身された方である。
今日の話は、今、都市計画関係者の中で盛んに叫ばれている、「コンパクトシティ」についての話である。

戦後一貫として行われた、周辺地域の開発による都市の郊外化政策は、人口の減少、環境破壊、中心市街地の衰退等といった現在の状況では転換を余儀なくされている。
その中で、郊外への開発を抑制し、中心市街地に人口を回帰させるという「コンパクトシティ」への動きが高まっている。コンパクトシティは、郊外の開発や自動車交通を抑えることにより、余剰なエネルギー消費を抑えるため、持続可能な都市運営が出来ると期待されている。
現在策定中の、新潟県の都市計画マスタープランでも、「コンパクトシティ」という方向がうたわれている。

しかし、海道氏は、これからの都市計画において、「コンパクトシティ」は万能ではないとも言っている。
コンパクトシティは、過度の集中を生み出し、都市部の混雑、狭い生活空間、ヒートアイランド現象等、大きなマイナス面があることも注意しなければならないとおっしゃっていた。

そもそも、近代の都市計画は、都心部に過度に集中した人口、機能をどのように配置すべきかと言うことから始まり、「田園都市」という概念を生み出し、都市を郊外に広げたのである。
集中と分散、都市の在り方における、二つの考えをどのように調和させるかが、必要となるだろう。

今回の講義では、海道氏は、それらをつなぐ交通体系の整備については言及されなかったが、集中と分散という相反する二つの概念を繋ぐのには「交通」が一つのキーワードとなると思う。
コンパクトで歩いて用が足りる都市と、ゆとりを持って広々とした郊外。交通体系の整備がそれらの形成に大きく関わって来る。
その地域にふさわしい都市のあり方を模索し、それを生かすような交通体系の整備が求められる。


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