7.13
かいです。
平成16年7月13日
あの朝、凄まじい雨の音で目を覚ます。6時半位だっただろうか?低地の我が家は、すでに床下浸水。道路は川と化していた。水位はどんどん上がり、家の前にあったドラム缶や、ビール瓶が流されていく。流されないようにって、素足で、水の中を歩き、回収して回った。
9時位になって、テレビを見ると、記録的大雨情報とか、五十嵐川が、警戒水位を超え、さらにダムから放流するとか。これほどの事態は、今まで経験が無かった。不安になり、テレビやパソコンの気象情報、河川情報を必死になって見た。
10時半になって、家の電話が鳴り、避難勧告発令の連絡。が、雨脚が弱まって来たので大丈夫だろうと少々安心。しかし、テレビから流れる、五十嵐川は、今にもあふれそうな状況。一新橋すれすれに、水が流れて来た。外からは、サイレンの音がひっきりなしに流れ始めた。
そして、お昼、全国ニュースに、一の木戸商店街の被災の状況。商店の冷蔵庫が流される映像。五十嵐川が越水している映像。あの場所は、我が家から、歩いて数分足らずの場所であった。お昼を食べ終えて外を見ると、水位は更に増し、水もにごり始めた。これはやばいのではと家財道具を二階に上げ始める。
が、二時半過ぎくらいから、水が急に引き始める。これ幸いと、玄関の水を掃きだす。水はどんどん引き始め、夕方近くには、道路が顔を出してきた。玄関にホースで必死に水を掛け、泥を掃きだす。そして、ほっとしたつかの間、テレビを見ると、対岸が破堤し、大変な被害に遭っているという話。三条の水害との闘いは、ここから始まった。
想像を絶する光景に
テレビから流れてくる映像。見慣れた景色が、一変している。この世のものとも思えない光景。言葉を失う。夜は疲れがどっと出て、かなり眠くなる。しかし、テレビから、ネットから、避難者の状況が刻一刻と流れてくる。聞きなれた地名、学校の名前が連呼される。しかも、避難所さえも危険なので、避難所から避難する状況だとか、大変な事になった。かなりの疲れているので、しばらくして就寝する。
翌朝、ヘリコプターのけたたましい音で目を覚ます。時々、耳慣れないジェット機の音、被害調査だろうか?街は混乱しているので、外に出ず、家で過ごす。空は、曇り空、しかし、雨は無い。テレビで流れる被災状況は凄まじい。車は流れ、ヘリコプターで救助される光景が次々と...。これは、この街で起こっている事。そして、この災害を何とかしなければという人達が立ち上がり始めた。ボランティアセンター設置の動き。
更に翌日、少し落ち着いたと思い、車で街に出る。一の木戸商店街には、おびただしいゴミの山。そして、凄まじい渋滞。普段なら10分足らずで商店街を抜けられるが、1時間経ってもまだ抜けられない。やがて、8号線に...。8号線も、凄い渋滞。県外から消防、警察、そして、自衛隊のトラック。見た事も無い光景。そして、嵐南(破堤した方)へ。ここは、私の20代の時の仕事場。しかし、今までの光景が一変している。両側にはゴミがうずたかく積み上げられ、見慣れた商店、コンビニ、ホームセンター、スーパーの無残な光景。流された家もあった。民家、会社、商店では、皆が疲れた表情を浮かべながらも必死に後片付けをしていた。かすかに見える復興の足音。
そして、ボランティアに
やがて、ボランティアセンターが立ち上がり、全国各地から、ボランティアが集まり始めた。私も、色々なつながりから、ボランティアの情報を知り、ボランティアに参加することにした。背中にリュック、首にはタオルの長靴姿。ボランティアセンターには凄まじい人の数。早速、現場に向かう。
街を歩くと、今回の水害が、いかに凄まじいものだったかを感じさせられる。しかし、被災者の人達は、皆、暖かかった。お邪魔した家でも、通りすがりの人達も、皆、親切だった。そして、センターの運営の手伝いもした。市内のボランティアは重宝された。土地勘があるので、道案内を行った。全国各地から来る、老若男女様々な人達に、被災地を案内した。被災者の皆さん、一緒に作業したボランティア仲間、そして、センターのスタッフ。今でも思い出すと懐かしさがこみ上げる。
あれから一年
あれから、一年が経った。街は平静を取り戻した。しかし、まだ、仮設住宅があり、廃業した店もある。この街は変わった。そして、河川改修で大きく変わるだろう。
私の意識も変わった。今までは敬遠していたボランティア活動の素晴らしさを知った。そして、地元でありながら、目をそむけていた三条の街について考え、感じるようになってきた。
過去に遡って、災害をなくすることは出来ない。しかし、これを教訓にして、今後の災害の際にいかに対処していくか、常に肝に銘じる事で、今後、発生が予想される災害から、くらしを守る事はできる。
多くの人命を奪い、甚大な被害をもたらした、7.13水害。しかし、ここから学ぶべき事は数多くある。
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