February 08, 2005

TOBACセミナー~新たな都市交通体系の実現方策

かいです。

今日は、先月末に東京で行われた、TOBACのセミナー「各国及び日本の事例に学ぶ 新たな都市交通体系の実現方策」についての報告。(更新が大分遅れています。スミマセン。)

このセミナーは、東京近辺の大学が集まり、社会人がキャリアアップを図る機会を与えるべく結成された「TOBAC」が行っているセミナーである。
私はちょうど前日、別の用事で東京に来ていたのだが、このセミナーの存在を知り、滞在を延長して聞くことにした。

会場は、明治大学の「アカデミーコモン」。最近建てられた、高層のキャンパスである。
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この辺り、数年前、私が宅建の合格講習で来た時には、まだ工事中だった。何が出来るのだろうと思っていたが、立派なキャンパス。そして、ここで私が学ぶとは...。
普通に大学に行けなかったかいにとって、この様な場で学ぶ事は、とてもうれしい事である。
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会場は9階。窓から見える冬晴れの東京の景色は、とても素晴らしい。空気が澄んでいるせいか、遠くには富士山も...。
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(写真をクリック)

やや前置きが長くなったが、本題。
今日の講師は、東京都立大学教授の秋山哲男氏と名城大学教授の海道清信氏の二名である。

まず、秋山哲男氏の講義から。

秋山氏は、福祉の観点から交通問題を研究されている方である。
実は私は、昨年もこのTOBACのセミナーで秋山氏の講義を聞く機会があった。
私は、交通問題にはかなり関心が高いほうだが、バリアフリーやユニバーサルデザインの問題はあまり関心が無かった。しかし、昨年、秋山氏の講義を聞いて、とても面白く、又、この様な問題は、他人の問題でなく自らの問題であるという事に気づかされた。
今年も、同様な内容の講義という事で、話が重複するかとも思ったが、又、新たな発見があるのではないかと思い講義を聞いた。

秋山氏は常に「移動の自由は誰にでも与えられた基本的人権である」と訴えている。
そして、交通問題も市場原理だけで扱うのではなく社会サービスとして扱うべきと訴えている。

今回は、公共交通の、最もきめ細かいサービスを提供する手段としてのバスの特徴と限界、そして、バスでカバーできない人達の交通を確保する手段としてのDRT(需要応答型公共交通システム)についての話があった。

まず、現在のバスが置かれている状況について、7つの疑問という形で現状分析を行った。
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高齢化社会の問題、コミュニティバスの問題、他の交通手段との組み合わせの問題等、バスを巡る様々な問題について現状分析を行った。
そして、バスを生かした交通体系を作り上げ、成功したブラジルのクリチバの事例紹介と続いた。

その様な論議の展開の中で、バスによっても、交通の恩恵を受けられない人達がいる事。そして、その人達の交通を確保する手段としてのDRTについての話があった。
DRTは、乗り手の需要に合わせて運行され、乗り合いで利用される交通手段である。(定義は難しいが)
つまり、タクシーの決め細やかさと、バスの効率性を併せ持つという特徴がある。
これらの動きは、スウェーデンやイギリスが先進地域であり、日本においても、青森や福島で実現されているという。

これから、高齢化社会を迎え、高齢者の移動をどのように行っていくかについてが重要な問題となると思われる。
しかし、日本においては、それらの動きは一部の福祉関係者しか関心がなく、交通の側からのアプローチが無い事、そして、日本においては、交通問題は市場からのアプローチしかなく、それらを改善すべきであるとの話があった。

秋山氏の講義、とても参考になった。交通は移動を求める全ての人達に、平等に与えられなけれはならないと思う。
ただ、交通を福祉と考えたとき、それが聖域化してしまうのではとの懸念もある。採算が合わないから税金を投入せよという考えは、銀行の不良債権処理と同じである。その辺りは注意しなければならない。
これらの問題については、市民と行政が主体的に行動し、相互に特徴を出して当たっていくべきではないだろうか。
市民も責任逃れをするのではなく、自らの問題とし、交通問題を解決していく事が必要ではないのか。

そんな風に感じた。

                ◇                 ◇

続いて、海道氏の話へと続く。
海道氏は、地域振興整備公団から、大学教授に転身された方である。
今日の話は、今、都市計画関係者の中で盛んに叫ばれている、「コンパクトシティ」についての話である。

戦後一貫として行われた、周辺地域の開発による都市の郊外化政策は、人口の減少、環境破壊、中心市街地の衰退等といった現在の状況では転換を余儀なくされている。
その中で、郊外への開発を抑制し、中心市街地に人口を回帰させるという「コンパクトシティ」への動きが高まっている。コンパクトシティは、郊外の開発や自動車交通を抑えることにより、余剰なエネルギー消費を抑えるため、持続可能な都市運営が出来ると期待されている。
現在策定中の、新潟県の都市計画マスタープランでも、「コンパクトシティ」という方向がうたわれている。

しかし、海道氏は、これからの都市計画において、「コンパクトシティ」は万能ではないとも言っている。
コンパクトシティは、過度の集中を生み出し、都市部の混雑、狭い生活空間、ヒートアイランド現象等、大きなマイナス面があることも注意しなければならないとおっしゃっていた。

そもそも、近代の都市計画は、都心部に過度に集中した人口、機能をどのように配置すべきかと言うことから始まり、「田園都市」という概念を生み出し、都市を郊外に広げたのである。
集中と分散、都市の在り方における、二つの考えをどのように調和させるかが、必要となるだろう。

今回の講義では、海道氏は、それらをつなぐ交通体系の整備については言及されなかったが、集中と分散という相反する二つの概念を繋ぐのには「交通」が一つのキーワードとなると思う。
コンパクトで歩いて用が足りる都市と、ゆとりを持って広々とした郊外。交通体系の整備がそれらの形成に大きく関わって来る。
その地域にふさわしい都市のあり方を模索し、それを生かすような交通体系の整備が求められる。


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December 25, 2004

又仙台に行ってきました。1

かいです。

今日は、今年2回目の仙台行きについての報告。

また仙台?っていうかもしれないけど、今回の目的は、交通工学研究会のセミナー出席が目的。っていうのは建前で、本当は、光のページェントを見たいと思い、今回の仙台行きとなった。
しかし、当日は雪の予報。車で向かおうと思っていたのでかなり不安。しかし、何とかなるだろうと車で向かう。

          ◇                     ◇

今回は、113号線を通り、山形経由で向かう事とする。
当日の朝、出発するときから雪がちらほら...。路面はまだ濡れている状態。しかし、中条を過ぎる頃から、屋根が白くなり始める。
坂町から113号線に入ると徐々に雪景色に...。本格的な冬の到来である。
県境に近づくにつれ、路面にも雪が...。この冬始めての雪道走行。少々不安。
カーブで膨らみセンターラインを少々はみ出す。恐っ。山形に入ると、除雪車が...。
しばらくして小国の町に入る。路面に雪が無く、少々安心。しかし、小国の町を抜けると再び路面に雪が...。雪の山道を走る。
そして、この路線の最大の難関、宇津峠を越える。気温計は何とマイナス4℃。雪も強く降って来て、視界が見えなくなりつつなる。
宇津トンネルを越えると、雪も止む。道足も大分良くなり、飯豊町に入る。路面は濡れている状態から、徐々に乾いてくる。あーっ良かった。
南陽市から13号線に入る。空から薄日も差す。緊張から開放され、今までの遅れを取り戻すべく少々飛ばす。
山形の手前、上山ICより高速に入る。対面通行の高速。車は一台もいない。
高速は、少々遠回りか、山形道になかなか接続しない。かなり走って、ようやく山形道に入る。笹谷峠は雪がないが、かなり寒い。路肩には雪もある。

峠を越え、宮城県に入る。しかし、天気はすっきりしない。宮城に入れば、晴天かと思ったが少々残念。
そして、東北道に入り、菅生PAで昼食。
昼食後、再び東北道に入る。仙台宮城ICで降り、仙台西道路のトンネルを走る。
トンネルを抜けると広瀬通に。それにしても、市街地と郊外を結ぶ仙台西道路、この道を走る度、仙台の都市計画の巧みさに感心させられる。
仙台の街路は、格子状。方角さえ分れは走りやすい。そして、とにかく街路が広い。中枢都市として、ふさわしい街路の広さ。私は政令指定都市の街路は、大体車か歩きで通っているが、仙台の街路はそれにふさわしいもの。
新潟の場合、それだけの格のある道は、駅前の東大通位。政令指定都市を目指す新潟にとって、これはかなりのハンデか。
そして仙台のメインストリート青葉通に入り、仙台駅前に。DSC00939

そして、駅のすぐ隣にある、セミナー会場「AER(アエル)」に到着。
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          ◇                     ◇

そして、本日のメインイベント、交通工学研究会のセミナー「交通シミュレーションセミナー~交通シュミレーション適用のススメ」を聞くこととなる。
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今回のセミナーは、最近急速に進歩している、交通シュミレーション技術について、その概要及び、適応事例、適用に際しての問題点を明らかにするもの。DSC00942

交通シミュレーションとは、パソコン上に信号や道路状況を再現した仮想道路データを作成し、そこに現況及び将来における交通量、道路データを入力して、交差点改良前後の渋滞長や所要時間がどの程度減少するのか推移を予測するものである。(鹿児島国道事務所HPより

私は、冒頭の部分は聞けなかったが、国交省、警察庁、そして、建設コンサルタントの利用事例及び利用への取り組みの話は聞くことが出来た。

まず国交省の沓掛氏より、社会資本整備と交通シュミレーションについての話がある。DSC00943

現在の日本においては、マスコミを中心に公共事業は悪というイメージがばらまかれ、公共事業へ厳しい風当りがある。そして、財政の悪化と相まって、公共事業の予算は削減されている。
しかし、わが国の社会資本整備水準は欧米に比べても低く、又、中国等のアジア諸国は急速に社会資本整備を進めており、このままでは、日本が取り残されるのではと警告。
その為に、公共事業の評価について、市民に分かりやすい形で表現し、理解を求めていく必要があり、そのツールとして、交通シュミレーションが有効であるとの指摘があった。
そして、その一例として、和歌山で行われた社会実験について、交通シュミレーションと実際の社会実験との比較事例が紹介された。現在、有料道路の利用率を向上させる為、全国あちこちで行われている社会実験。その実験に先立ち、交通シュミレーションを行う事で、条件の絞込みを行い実験の効率を高め、なおかつ、想定と実際の比較を行うことにより、シュミレーションの有効性を検証した事例。
今まで、ないがしろにされていた公共事業の有効性の評価について、目に見える形で表現できる事が期待される。

次に、警察庁の山本氏より、警察における、交通シュミレーションの現状と課題について話がある。
警察においては、交通シュミレーションについて、ニーズはあるものの、利用実績がないとの話がある。
現在の交通シュミレーションについて、専門的な知識を持った人が必要で利用しにくく、コストが高い、又、利用についても、各都道府県警レベルではたまにしか利用する機会が無く、導入に踏み切れないとの事例紹介があった。

そして、最後に、パシフィックコンサルタンツの杉本氏より、東北地方による交通シュミレーションの適用事例について話があった。
この中で、駅前の都市計画道路整備に伴う交通量の変化についてのシュミレーションとバイパス整備における取り付け道路の接続についての2点の事例紹介があった。
特に印象深かったのは、バイパス整備の事例。
このバイパスは、市民との話し合いで合意形成しながら造って行こうとしているもの。その中で、バイパスが通る付近に団地があり、団地との接続道路が交差点に近接する計画となった為、そこの接続をどうすべきかについて、市民と行政とコンサルで話し合われた。
行政側は計画される交差点から、離れたところに団地との新しい道路を建設し、団地との接続を図ろうと提案したが、市民側は、既存の道路を活かし、五叉路としてはどうかと話が出て、交通シュミレーションを行う事となった。
その結果、五叉路とする案では、深刻な渋滞が発生する事が予測され、結局、新しい接続道路を造る事になったそうである。
分かりやすい形で、市民と行政の合意形成を行うツールとして、交通シュミレーションは有効であるとの話であった。

交通シュミレーションは、現状では、なかなかとっつきにくいものだが、これからのまちづくりを進めるために必要不可欠なツールである。誰にでも分かりやすく、正確で、安価なシステム開発を望みたいものである。

          ◇                     ◇

かなり堅い話が続いたが、次回は、夕暮れの仙台まち歩きと光のページェントについての報告!お楽しみに!


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December 19, 2004

第四回新潟駅周辺整備ワークショップ

かいです。

今日は、12/18に行われた、新潟駅周辺整備のワークショップについての報告。

このワークショップ、新潟駅前広場について、市民参加で、形にしていこうというもの。7月末の新潟駅東側連絡通路で行われたのを皮切りに、今回で4回目。
最初は、形になるものが何も無かったが、これまでのWSの中で、序々に形になって来た。その一方で、様々な問題点も浮かび上がってきた。
きかく会議のメンバーからも、
かつての南口広場整備で作られた施設が生かされておらず、噴水が醜い形になっている事。
駐車、駐輪場の問題が考えられておらず、現状の駐車、駐輪場を削ることになるのではないのか?
等の問題提起がなされて、新しい広場は果たして必要なのか?との問題提起があり、前日の夜、現地に集まって、意見交換をしたりした。

DSC00903新潟駅連続立体交差事業の中の周辺整備事業、その中での広場整備という事で、前提条件にかなり制約がある中での、ワークショップ。今まで前提条件があいまいなまま、話を進め、話が堂々巡りになる事が多かったが、今回のワークショップでは、今までの経緯、そして出張PRでの結果を踏まえながら、その前提条件の再確認から始まった。
道路の接続の問題、ぺデストリアンデッキ、バス停の形状、駐車駐輪場の問題等、行政及び、設計者側の説明が続く。
参加者の中から、防災の観点から、ぺデストリアンデッキは必要か?又、他の事業との兼ね合いはどうなのか等の質問が続く。
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次に、設計者側より、駅前広場のイメージについてのプレゼンがある。
市民の意見を取り上げながら作り上げた広場のイメージ。
南北それぞれに違う、広場の性格について、新潟をイメージする、水と緑を配置しながら、作り上げていこうとする提案。新しい新潟駅を通り抜けると広場の性格が変わっていく仕掛けを提案していく。
次に、新しい駅前広場について、賑わいをどう演出していくのかについて、その為にイベントを行える場を広場の中にこんな形で作ればいいのではと提案。
広場をただ作るのではなく、イベントを通じて、まちの賑わいを演出していくこと、イベントを行う事で生じる収益で、広場のメンテナンスコストを賄えるのではと提案。
7月末に始まったこのワークショップ、数ヶ月の市民と設計者の対話で、形が見えてきた。
交通結節点としての駅前広場。いくら乗り物を利用しても、結局最後の移動は、人間が歩くこと。人が集い、交わり、別れていく広場。まちの賑わいを演出していくのは、結局「人」である。人が真ん中な広場づくりに向けての形が出来上がって来た。
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次に、グループディスカッション。
設計者の提案した、駅前広場について、実際に利用したつもりになって問題点を検証する。
通勤通学の際、イベントをする際、待ち合わせをする際等、それぞれの、ケースを想定しながら、シュミレーションしていく。
広場の分かり易い場所に、交番を設置して欲しいとか、待ち合わせをする際のシンボルが欲しいとか様々な意見。
利用者の立場に立ってシュミレーションすると、今までのワークショップで想定されていなかった、様々な部分が明らかになる。
そんな中、駅前広場について、ただ機能のみを追及するのではなく、遊び心が必要ではとの意見が出る。
新潟は、天候の影響か、暗いイメージがあるという、しかし、その為、女性がきれいに映るそうである。明かりを工夫すると、かなり面白い広場になるのではと話が進む。女性がきれいに映れば、それに釣られて男性も集まり、にぎやかな広場になるのではと...。

DSC00922グループワークの結果について、各グループ毎に発表!
それを踏まえて、全体ディスカッションとなる。
グループワークで言い残したこと、その他、言いたい事を含めて、それぞれが発言。
今、新潟で検討されている新交通システムとの連携等、様々な意見が出る。

そして、そんな市民の問いかけに対し、設計者グループから、今までの論議を踏まえ、発言がある。
現状の新潟駅は、駅が都市の壁となって、新潟の発展を妨げている事。その為に、人が自由に行き来出来る広場が必要なんだと話がある。
そして、新潟駅について、利用者のニーズを把握しながら成長していく駅にしていきたいと話がある。
そして、そこに市民がどう関わっていくのかが課題だとの話があった。
更に、設計者グループも、これまでのワークショップで市民と設計者との間で、共有の輪が出来つつありとても嬉しいと話があった。この言葉を聞いて、私も、駅きかく会議に携わって良かったと感じた。


今回のワークショップ、基本設計策定に向けた最後のワークショップである。
それなりにまとまった感じ。しかし、課題もいっぱいある。
ワークショップの参加者は、同じメンバーばかり。市民まちづくりといっても、特定の人たちの参加しかなく、それだけで、特定のグループが形成されてしまう感じである。
市民の生活にとって必要不可欠な問題の駅整備。我々、駅きかく会議も市民の生活レベルに合わせた対応が求められる。
更に、新潟駅周辺整備について、新しい新潟駅のあり方、鉄道の立体交差の問題、それに伴う街路整備の問題、新交通システムを含めた公共交通体系の問題、周辺商業の問題等、総合的な対応が求められる。
新潟駅周辺整備事業による市民参加も、それに合わせて、総合的に対処できるものとしなければならない。

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December 07, 2004

駅きかく会議~次回ワークショップに向けて。

かいです。

今日は、新潟駅周辺整備の次回WSへ向けて設計者を交えてのの打ち合わせ。
設計者側からも、リーダーの堀越氏を始めとして、都市計画、造園等のメンバーが参加。

私は途中からの参加であり、今回の打ち合わせについては、今後に支障がある可能性があるので、詳しく書くことは出来ないが、設計者グループと前回(9月)の打ち合わせより、より踏み込んだ話が出来た。

今までのWS等を通じて、浮き上がった問題点は、作り手と使い手の意識のズレ。この事業の前提条件が市民の共通認識になっていない。以前の記事にも書いたが、市民が求めている事が設計者に伝わらず、又、設計者の意図が、市民に伝わらない現実。
この溝を埋めるために、出張PRでは、アンケートを行ったが、それを設計者に示す。
又、設計者側も、その事に気づいているらしく、反省の声も聞かれた。
そして、市民の目線に立った分かりやすい形で、説明していく事が、確認された。

次に、今までのWSの成果を次回WSでどう評価し、どう結論を導き出すかについて話を進める。
今までのWSの反省点として、話が堂々めぐりになり、結論が出ない点について話を進める。先回のきかく会議では、その方法について、チェックリスト的な物を作成し、成果を評価してみてはとの提案があったが、話を進めていくうちに、利用者になったつもりでシュミレーションし、使い心地をチェックしてみてはというアイデアが出た。
利用者の目線で、さまざまな状況を想定し、実際に駅を使う気持ちで、問題点を洗い出していこうという取り組み。
どうなるのか楽しみである。

更に、今までのWSで実現出来なかった、市民と設計者の直接の対話も行う事となった。
お互い望みながらも、実現出来なかった市民と設計者の同じ目線での直接対話。今までは、感情的な対立が起こる可能性があると避けてきたが、市民と設計者の双方の溝を埋めるために、ぜひとも必要だという事で実現する方向となった。

今回の打ち合わせで感じたこと、そして今後のWSに向けてのキーワードは同じ目線で考えるという事である。
今回の設計者との対話。私は、今まで、設計者の目線が極めて高く、恐れを抱く感じすらがあったが、結構視線を合わせれば、フランクな対話が出来ると感じた。私も設計者の目線で見るという努力が足りなかったかと反省させられた。
市民参加の新潟駅づくりにとって、使い手と作り手の意識の共有がまず必要。
今回のWS、今までのWSの積み重ねから、互いの接点を探し出し、何か形に出来ればと思う。

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December 04, 2004

都市交通フォーラム~市民参加による都市交通ルネッサンス

かいです。

今日は、12/1にNEXT21で行われた、「都市交通フォーラム・市民参加による都市交通ルネッサンス」についての報告。
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このフォーラムは、9月、10月に行われた、新潟の新交通を考えるワークショップを主催した、新たな交通システム検討協議会と新たな交通システムを考える会が開催したもの。
新たな交通システム検討協議会は、行政と交通事業者が、新たな交通システムを考える会は、市民有志が、それぞれの立場から新潟の新しい交通システムについて考えて実現していこうとする会である。

今回のフォーラムに先立ち、NEXTの1階で、それらの会の活動内容及び、今日のパネリストの一人である、RACDA代表の岡将男氏の鉄道模型が展示されていた。
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会場は、6階の市民プラザで。
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開会の挨拶に続き、宇都宮大学教授の古池弘隆氏より、基調講演。

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まず、現状の車社会についての分析。
現在も道路建設が進められている日本であるが、道路を造れば造るほど、渋滞が発生すると指摘。道路が便利になれば、車の通行が増加し、結局渋滞が深刻になるという事について、統計結果を交えて説明。
更に、車の環境に与える悪影響、高齢化社会での引きこもり問題等、車社会の限界を指摘。
そんな中、外国では、公共交通が見直され、LRTが相次いで開業されている事例を紹介。
欧州では、LRTの導入が進んでいるという話は、交通まちづくりに関心がある人にとっては常識的な話だが、現在は、車社会の雄ともいうべきアメリカでもLRTの導入が進んでいるという。ポートランドを始めとして、ロサンゼルスでも導入が始まっているという。
そして、街にLRTが導入されると、中心市街地が活性化し商業的にもプラスになるという事例が紹介された。
更に、その動きは、欧米だけでなく、中国にも広がっており、実際に完成している都市もあるそうである。
続いて日本の事例を紹介。
まず、お隣の富山での事例紹介。高岡の市民による万葉線再生の話を始め、JRの富山港線をLRT化しようという動きがある事例を紹介。
日本でも、富山や、古池教授が活躍されている宇都宮を始め、あちこちで、LRTを交通の主要な手段として取り入れる動きが広がっている。持続可能な社会実現に向けて、公共交通を都市の機能として水平なエレベーターとして捉え、行政サービスとして行うべきであるとの提言があった。
締めくくりに、LRT導入についての問題点の整理があった。
公共交通事業は、営利事業ではなく行政サービスとして考える事(事業への公費投入)
軌道法の改正の問題。(時代錯誤の法律に縛られている現状)
走行空間の確保。
市民の意識改革。
等の問題を解決すべきとのとの提言があった。

次に、パネルディスカッションに。
パネリストは、基調講演を行った古池弘隆氏と、岡山のRACDA代表岡将男氏、新潟からは、新たな交通システムを考える会のメンバーであり、(有)ミカユニバーサルデザインオフィス代表の長谷川美香氏、新潟青年会議所理事長の栗田浩氏の4人。コーディネーターは、新潟青陵大短大部教授の諌山(いさやま)正氏である。

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まず、岡氏よりRACDAの活動紹介及び提言。
岡氏は、小さい頃より大の鉄道ファン。更に、家業の佃煮屋の営業の為、全国各地を回った経験より、路面電車を中心としたまちづくりに想いを抱くようになり、活動をはじめたそうである。
岡氏は、路面電車を使ったまちづくりには、バスとの連携が必要だと提言。実際に市民の力でバスマップを作成している事を紹介した。岡山では、バス会社が8社もあり、各社がバラバラに対応していたそうである。そんな中、市民がつくり上げたバスマップは、岡山の公共交通の路線図を体系的に表しており、各機関が活用をはじめているそうである。
更に、RACDAでは、子供を巻き込んだ活動をしているそうである。子供の視点からバス停を作り上げるという事も行っているという。そういう活動を通じたりして、RACDAの会員の半数は女性であるそうだ。

次に、新たな交通システムを考える会のメンバーでもある長谷川氏より、新たな交通システムを考える会の活動や9月10月と行われたWSについての紹介。
更に、本業のユニバーサルデザインによるまちづくりの視点から、本当に公共交通を必要としている人達の声が届かないという現状に対しての問題提起があった。

そして、栗田氏より、青年会議所の活動を通じての新潟の公共交通問題についての活動紹介。
青年会議所では、10年ほど前から、公共交通問題に対し、研究提言を行っていたそうである。その背景には、都市間競争があった。北陸新幹線の開業による交通軸の移動による新潟の地位の低下。政令指定都市を見据えた交通基盤作り。とにかく、他所の街から新潟を眺める際、新潟がどういうイメージで見られるか、そして、どうすれば、都市間競争に勝つ事が出来るかについて、論議したそうである。
そんな中で、JRとの連携をした地下鉄構想を提言したそうである。しかし、それらは、日の目を見ずにいるが、現在もう一度、公共交通のあり方に関し、更に研究し、再挑戦を考えているそうである。

締めくくりに、もう一度、古池氏より事業の採算性についての話。
車は、ガソリン代のみで考えると一見安い交通システムに見えるが、車の購入、維持のコスト、道路の建設コスト、更に環境へのコストを考えれば、かなり高いシステムである。公共交通もトータルの社会コストで考えるべきとの話があった。

今回のフォーラムでは、新しい交通システムを導入していく意義と課題。そして、そこに市民、行政、事業者がどう関わっていくべきかについて、とても良い提言があった。
しかし、この問題を新潟という地に、どう根付かせていくという点の踏み込みが足らなかったとも感じた。
この問題、政令指定都市を目指す新潟にとって最重要課題ともいえる。個々に対応するのではなく、総合的な視点から、考え、行動していく必要があるだろう。

今回のフォーラム、私は車で参加したが、駐車場料金は7時以降の夜間割引で1250円。割引がなけれは、1400円。新潟と三条の公共交通のコストとほぼ同額である。新潟市内は車社会が成り立たなくなってきている事を感じた。

公共交通問題については、もう少し、自分の考えをまとめアップしていきたい。


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December 02, 2004

駅きかく会議~出張PRのふりかえり

かいです。

今日は、30日に行われた、新潟駅周辺整備の駅きかく会議についての報告です。

今回話し合われたテーマは、
1.先回の出張PRのふりかえり。
2.次回WSへ向けての取り組み。
の2点です。

今回は、先回の出張PRのふりかえりを中心に述べたいと思います。

先回の出張PR展については、8日間で、延べ1,200人程の見学者があり、300人程の市民からアンケートや駅へのメッセージをもらう事が出来ました。
それらの中から、浮かび上がった事として、駐車場、駐輪場の問題、まちの賑わいの問題、ユニバーサルデザインの問題、新潟の公共交通全体の問題、市民参加のあり方等、様々な課題が浮かび上がってきました。

そんな中で市民の意見として、なぜ、駅の真ん中に広場を作るのか、むしろ、駅の真ん中に車道を通し、駅の南北の交通をスムースにすべきではとの意見が多かったとの話が各人から出ました。
駅きかく会議のメンバーの中からも、本音として、新潟駅をぶち抜いて南北の交通をスムースにすべきだとの意見が多数出ました。
使い手である市民の意識と、作り手の行政、設計者の意識のズレ。作り手は、新潟駅に広場を整備する事は、当然の事とし、広場作りについて市民の意見をWS等で集めながら、市民参加のまちづくりを進めているが、使い手である一般市民はそれを望まず、車によるスムースな南北の往来を求めている現実。

そんな中、新潟市内で活躍されている建築家の橋本氏より、市民へのインタビュー結果を交えながら「駅前に広場とはどういうことなのだるう」、「そもそもこの事業の原点は何なんだろう?」と問いかけがありました。
その問いかけに対し、私の意見としては、
大勢の人が集まる駅にとって、駅前に人々が集う広場は必要。生の人間がぶつかりあって生まれる賑わいは、街のエネルギーとなる。その大切な場を、車の天下にする必要はない。
この事業は、新潟の南北を分断している線路を高架にし、南北の交通をスムースにするとともに、分断されている南北が一体化した、街をつくる事。これは、かつて、信濃川で分断されていた、新潟と沼垂を一つにまとめ、近代の新潟市の礎を築いた萬代橋に匹敵するような事業。
これらの点について、
作り手が、駅前に広場をつくる事の意義を、使い手である、一般市民に分かりやすい形で伝えて来なかった事。
使い手の市民の想いであり、この事業の目的である、南北の自由な往来と、南北そして、合併する市町村が一つになって新しい新潟市をつくり上げるという事が、作り手(特に設計者)に伝わっていない事。
の2点が問題だと思います。

とにかくこの議論、市民参加型でまちづくりを進めてきた中で、大切な何かを忘れたまま、形だけの市民参加になって事が進んでいないか、という部分が浮き彫りになって来たのではないかと思います。市民参加の大きな実験ともいえる、新しい新潟駅づくり。今回浮かんできた課題にどう取り組むかによって、今後の方向性が決まってくるのではと思います。

ひとまず。

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November 21, 2004

駅きかく会議と新潟駅周辺整備出張PR

かいです。

今日は少し遅くなりましたが、新潟駅の周辺整備について「駅きかく会議」と出張PRについて書きたいと思います。

これは、新潟市の新潟駅周辺計画課と、我らが、新潟駅の周辺整備を考える市民組織「駅・きかく会議」の共同作業で行われます。
この、「駅・きかく会議」、新潟駅前広場を考えるワークショップの第一回に市民側からも新潟駅周辺整備について考え、行動していこうではないかと発案があり、市民有志を募って発足した組織。
メンバーは、駅近辺で発言されている地元住民や、市内で活躍されている建築士、交通関係者、市民まちづくりで熱心に活動されている人、学生、市会議員と立場は様々ですが、それぞれの立場から、新潟駅駅前広場の整備に始まるこの大事業に声を上げ、声をまとめ、市民と行政の架け橋として、主体的に駅作りに携わっていこうという組織です。
とは、いっても皆、経験が浅いので、ワークショップのコーディネーター役の「まちづくり学校」にリードされながらやっています。

そんな中、先日の鉄道の日に新潟駅で行った新潟駅の周辺整備のPR展が好評であり、それならば、もっと内容を充実させて行ってはどうかということとなり、「駅きかく会議」と行政でやろうではないかと話が進み、今回の実施となりました。
今回のPR展に向けて、行政と、「駅きかく会議」は、まちづくり学校のスタッフを交えて、新潟駅整備に対する思いや、今回のPR展の進め方について、何度も話し合いました。今までは、少々受身だった「駅きかく会議」のメンバーも、駅作りに主体的に携わっている楽しさと、それを実現させたいという思いから、積極的に動き始めました。

ということで、11/15の新潟市役所本館ロビーを皮切りに、新潟駅東側連絡通路、万代シティ前、駅南コミュニティセンターの四箇所での開催が始まりました。

今回は、私が携わった11/18~19の新潟駅東側連絡通路でのPR展の報告をします。(大分遅くなりましたが...。)
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PR展は午後二時から八時まで。私は途中から参加。
夕方は、学校帰りの高校生とかが多い。気づかずに通り過ぎる人、興味を持ちながらも立ち去る人が多い中で、こちらからの積極的な呼びかけに足を止める人もちらほらと。
若い人達は、なかなか振り向いてくれないけど、足を止めてくれる人は、結構意見を言ってくれる。修学旅行とかで、様々な駅を見ている彼らにとって、今の新潟駅は寂しい感じだとか。「もっと買い物できるところとか欲しいよね」とか「ラーメン屋が欲しい」とか様々な意見。中には、「和の空間(畳敷き)の休憩所とかあったらいいよね」というユニークな意見もあり、掲示板のポストイットは、どんどん埋まっていく。
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一番興味を示してくれたのは、やはり、駅周辺に住んでいる人達。
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自分の住んでいる場所が、地域がどんなに変わるんだろうかと模型を見ながら、真剣な質問が続く。
とにかく、早く事業を進めて欲しいという意見が大半で、計画があってもなかなか事業が進まないという苛立ちの声もちらほらとある。
とにかくこの事業、市民と行政が一体になって進めていくもの。今までのように、行政が主導し、市民に押し付けて事業を進めていくより、合意形成に手間がかかり、回り道するかもしれないが、多くの市民の協力と意見が得られる事で、結局、合意形成のスピードは速くなるのではと思う。
公共事業の市民と行政の新しい関係作りの実験であるこの取り組み。新潟方式として世界の手本となりうる事例としたい。
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6時を回ると会社帰りの人達が多くなる。しかし、通行人の数はそんなに多くない。やはり、新潟の通勤の主役は車なのか。新潟は、車と公共交通の利便性が半々な街。しかし、政令指定都市を目指す新潟市にとっては、公共交通の充実は必要不可欠な課題。そんな中で、あるサラリーマンが、新潟駅の整備に金をかけるなら、越後線を複線化せよとの声。駅ばかりが良くなってもそれを支える公共交通がだめなら意味が無い。駅整備は、周囲の公共交通の整備も一緒に考えて進めなけれはならない。

そんなこんなで、8時をまわり終了。

新潟駅の将来の姿をアピールするとともに、沢山の意見、要望、思いが集まったこのイベント、来週の木、金と駅南コミュニティセンターでも開かれます。
新潟駅周辺整備の市民参加ついて、ワークショップをともに、もう一つの柱となるこのPRイベント。せっかく出た芽を大切に育てたいですね。


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November 10, 2004

INTA新潟 11/10~分科会・公共交通

かいです。

INTAも三日目。今日は、分科会。私は、4時から始まる。公共交通の分科会に参加。

会場は満員。結構関心が高いみたい。
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分科会が始まる。パネラーは、高知工科大の寺部慎太郎氏と、名古屋大の加藤博和氏と、フランスから、建築家で交通問題にも取り組むジャックジョセフ・ブラック・ドゥ・ラ・ぺリエール氏、コーディネーターは、横浜国大の中村文彦氏。各人のプレゼンが始まる。

まず、高知工科大の寺部慎太郎氏が、高知の公共交通の現状と課題について、話す。
高知は、路面電車のある街。かいも、去年の春、高知を訪れ、路面電車に乗った経験がある。「はりまや橋」という言葉が出て懐かしい。都心部に軌道系の公共交通がある街は、街を巡るのに分かりやすく、旅行者にやさしい。
高知市街の路面電車は、日中でも数分間隔で運行されている。ただ、終電が遅い(22時)が難点。
そんな高知の街だが、他の街と同様に路面電車を利用する人が減っており、車依存型の都市交通体系になりつつある。との報告があった。尚、路面電車利用の中心は高齢女性だそうである。
その様な高知の路面電車の現状だが、問題点として、
床が高く乗りにくい。
ノーガード電停(道路と電停の仕切りがない)の存在。
更に、路面電車と同じ路線にバス会社が2社乗り入れてお客の奪い合いをやっている。
等が挙げられた。
解決策としては、
乗りやすい車両の導入。(低床車)
自動車との連携。(パークアンドライド)
マーケティング戦略。
等が挙げられた。
私は、やはり、公共交通の復権には、待たずに乗れるサービスが重要だと思う。車両の運行コストを引き下げ、数分間隔で、走らせるサービスが必要だと思う。
あと、新潟でも、LRTを導入する事が検討されているが、道路計画との関連を考える必要があると思う。高知のノーガード電停の話は、0から軌道系の交通を入れようとしている、新潟にとって、考える必要がある話だと思う。

次に、名古屋大の加藤博和氏より、公共交通の運営について話がある。

まず、地元の岐阜市の現状について話がある。岐阜市も名鉄が、路面電車を走らせているがが、車の台頭でとうとう、廃止が決まったそうである。そこから、導き出されるものの一つとして、公共交通は、営利事業では成り立たなくなっているということである。
そんな中、事業の担い手として注目されているのがNPOである。交通事業の担い手としてのNPOについて、私は当初、担い手としてふさわしいのか少々疑問に思ったものだが、加藤氏の話を聞いていくうちに、NPOこそ、交通事業の担い手にふさわしいと思うようになった。
NPOは、非営利事業である。社会に必要だが、営利事業としては成り立たないものを運営していくものとして期待されている。公共交通が、採算が合わなくなってきている今、NPOの特性を生かし、運営主体として育てていく事が必要だろう。
今回の加藤氏の発表では、東海地方(三重県)のNPOによるバス事業の運営事例が2例ほど紹介された。
地域住民が運営主体となり、通勤者を抱えている地元企業や行政等の支援を受けて運営しているそうである。このような取り組みは、新交通システムの導入を考えている新潟にとって、運営主体すら決まっていない今、よく研究していく必要があるであろう。

更に、加藤氏は、市民、行政、事業者の各ファクターの問題点を挙げる。
市民については、公共交通は、お上から授けられるものとして、自分の問題として考えていないとの指摘があった。
市民には当事者意識が無く、無関心、無責任であるということが、公共交通の衰退に拍車をかけているとの指摘があった。
行政には、お金の出し方に工夫が無い事、交通行政という戦略的視点が欠けているとの指摘があった。
許認可と赤字路線にただ補助金を出すという行政。出すなら戦略的に利用者のニーズを把握しながら、又、お金の出し方も事業者のみに補助金を出すのではなく、利用者側に顔を向けた補助が必要だとの指摘があった。
事業者には、利用者のニーズを捉えるようなサービス開発をまったく行っていないとの指摘があった。
普通の民間企業なら、新製品、新サービスの開発にしのぎを削っているが、こと、交通事業に関しては、その様な発想が全くないとの事である。系統、ダイヤ、運賃の見直し、新車両の開発等、利用者のニーズを捉えたサービス提供が求められるとの指摘があった。
最後に、市民、行政、事業者との調整、そして、公共交通を総合的にコーディネートする、「公共交通プロデューサー」が必要だという話があった。そして、現在、その様な人材は極めて不足しているのでその育成が急務であるという提言があった。

最後に、フランスのジャックジョセフ氏より、話があった。
ジャックジョセフ氏は、日本の公共交通の運営について、100年前の発想という厳しい指摘があった。
次に、世界の交通問題について、概念的な話が続く。
通訳を交えた説明は、私自身訳語に慣れていない為、分かりづらい。ちょうど翻訳本が読み辛く、途中で嫌になる感覚である。
しかし、新潟の様な中規模の都市の公共交通のスタイルはどうあるべきかについての話は、私の関心のテーマであるだけに、興味深く感じられた。
人口が、数十万の規模の都市の公共交通のスタイルは、地下鉄、簡易地下鉄(LRT地下鉄?)、路面電車の選択が非常に難しいとの話があった。
フランスでは、新潟クラスの都市でも地下鉄が導入されているとの話を聞く。新潟地下鉄論者の私にとって心強い。しかし、一方で、ボルドーは一本の地下鉄を作るのなら、同じお金で、路面電車を三路線走らせれれるという選択を行ったそうである。新潟の新交通の導入は、新潟の諸条件を考えながら、市民の合意を得て実現させるべきだろう。
あと、もう少し小規模な地域では、既存のインフラを活用する事が必要だとの話があった。
これは、新潟にも当てはまるのではないかと思う。現在、新潟ではJRでも、信越線、白新線、越後線とあるが、運行間隔、駅前広場の整備、バスとの連携でかなり便利になると思う。最近、私も越後線を利用したが白山駅で30分以上待たされてしまった。これは、施設の問題というより、運営の問題である。
あと、都市計画と、交通のリンクの必要性についても話があった。せっかく開発を行ったのに、交通が不便でうまくいかなかったり、逆に、交通が、利用しにくい場所にあるため、利用者がいない等、都市計画と交通は、一体的に考える必要があるとの指摘があった。又、都市交通の施設は、都市計画の中で、都市のランドマークとして、生かされるべきとの指摘があった。

あと、ジャックジョセフ氏の話の中で、興味深かったのは、ユニバーサルデザインについて、フランスは南欧とともに遅れているとの指摘があった。
我々は、どうしても、ヨーロッパは何事にも先進的であると考えがちだが、実際、ヨーロッパは南北様々な国の集合体である。我々は、きっと、ユニバーサルデザインについて、北欧の事例を見てヨーロッパ全体がそうなんだと思い込んでいるのかもしれない。面白い発見であった。

以上、三氏の発表が終わると、時間は予定終了時刻の6時を回っていた。
実に白熱した、中身の濃い論議でだった。
その後、延長し、質疑応答に入ったが、私は、所用があるので退席した。ずーっと聞いていたかったが残念。

この討議を私なりにまとめると、浮かんだキーワードは、戦略と連携だった。
都市交通問題を考えるとき、皆が、自分の狭い領域のみで考えていなかったか、他者との関係、連携を考えていなかったか。加藤氏がおっしゃった事を引用しながらまとめると、都市交通は、皆が、エレベーターやエスカレーターのように利用すべきものである。利用者が乗りやすく、使いやすいシステムを戦略的に、皆が連携し、考え、都市が育てていくべきではないだろうか。

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October 30, 2004

第二回新交通ワークショップ

かいです。

地震で、心がせわしかったせいか、ずっと更新できずにいました。地震というと、木曜日の大きな余震で、私の前の家のブロック塀が、崩壊しました。その時私は家にいませんでしたが、後で現場を見てぞっとしました。震源から50kmも離れている場所でこの有様。今回の地震の凄さを思い知らされました。
今日は、余震も少し落ち着き、久々の更新。

今日は、新潟市役所で行われた、新潟の新交通システムについてのワークショップに参加しました。
このワークショップは、新潟の公共交通の問題について話し合い、今後、どのように新しい交通システムを導入していくか、市民同志で話合う場です。

今回のワークショップでは、先回論議した、「新潟に新交通が導入された際、どうしたいのか」について、議論がまとまらなかったものをまとめ、それを踏まえた上で、市民、行政、交通事業者が、それぞれ、どんな役割を果たすべきかについて話し合いました。

まずは、先回まとまらなかった、新潟に新交通が導入されたとき、どうしたららいいのかについて、再度話し合いました。
この作業は、前回まとめ切れなかった部分をまとめ上げる作業。事前に郵送された付箋紙に思いと解決策をそれぞれ書き、発表していく。論議を進めると、結構上手い具合にまとまる。議題を寝かせたことにより、うまくまとまった。カレーも一晩寝かせろと美味しくなるというが、(熟カレー)ワークショップの議題も同じなのだろうか。新発見でした。

次に、新潟に新交通を導入する際には、市民、行政、交通事業者が、何をなすべきかについて話し合いました。
それぞれの立場で単独で、あるいは連携して何をなすべきかについて話し合う。
市民も、公共交通をもっと利用し、車の利用を控えるべきとか、行政も、公共交通を社会インフラとして扱うべきとか、事業者も、企業同士で縄張り争いをせずに利用者の立場を考えて公共交通を運営していくべき等、様々な意見が出されました。
そんな中、出てきた意見で私が大事だと思ったのは、市民、行政、交通事業者がそれぞれ一同に会する場を設けるべきということでした。市民、行政は、少しづつ話し合いの場を持ち始めていますが、事業者の意向が分からなければ、話は進みません。事業者の顔が見えないのです。
とにかく、交通事業者を交えた中で、公共交通を考える必要があると思いました。

今回のワークショップは、一応これで終わり。しかし、まだ、論議は尽くされていません。
そんな中、これからの新潟の公共交通の問題について、市民参加型の組織を作るべきだ、との声がかなり挙がりました。私も同感です。
とにかく、この問題については、市民主導型で、継続して取り組むべきだと思います。
息の長い取り組みになると思いますが、後世に素晴らしい交通システムと、市民参加のノウハウを残せれはと思います。


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October 03, 2004

新潟駅前広場ワークショップ

かいです。

今日はとても寒かったですね。本格的な秋の到来です。(栗ご飯)?

今日は、昨日参加した新潟駅前広場のワークショップについて書きたいと思います。

このワークショップが始まってから三回目。始めは少なかった参加者も、少し増え、にぎやかになってきた。新しい参加者もいて雰囲気が良くなってきた感じもする。

今回のワークショップでは、まず最初に設計者チームより、これまでの設計作業の経過説明及び、コンペ時からの諸条件の変化により、コンペ案を修正している事について、スライド等によって具体的に説明があり、その後修正案にに基づいて模型を用いた説明があった。
今まで、漠然としていた、設計案が、諸条件の変化等をわきまえた上で、具体的な形になってきた。
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次に、再度設計者チームにより、前回のワークショップで出された広場デザインについて何をどうしたいのかという「市民の想い」について、「こんな感じになるのでは」とよその事例を交えながら、説明があった。
他の事例を見ながら、新しい新潟駅前広場の形を想像していく。

続いて、グループに別れ、前回のワークショップで出された「市民の想い」をどこで、どういう風に表現したら良いのかについて話し合う。図面や模型に実際に想いを書いたカードやピンを立て、想いを表現していく。
いつもと違う進め方、やり方に少々戸惑うが、想いを具体的に形にしていく作業は楽しい。
ただ、今回のグループワーク、私にとっては大失敗だった。お互いに意見を出し合うが、自分と他のメンバーとの意見のすりあわせが出来ず、次第に議論についていけなくなる。メンバーの中で浮いた感じ、今までワークショップに何回も出ているが、こんな経験はあまりなかった。自分のコミュニケーション能力の無さが出た感じである。かなり反省。

今回のワークショップでは、新しい新潟駅広場の形が、具体的に示されてきた感じがする。こういうのを見せられるとワクワクしてしまう。
平成21年に予定されている新潟国体に向けて、南口の整備が始まる。そこには、市民の夢が一つ一つ形になっていく、これからの道のりはかなり大変だろうが、夢を現実にする作業に関わり続けたい。


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